事業会社の信用力を分析する際に格付け会社は様々な財務指標を分析する
- 個社のトレンドを分析する際
- 他社と比較する際
- 産業リスクと事業特性を踏まえ設定した指標の目安と比較するため
- 一方、財務指標と格付け評価の相関は高い訳ではないので、取扱いに注意する必要がある
財務指標を調整する必要性
- 会計ベースでは表現できない実態を分析に反映するため
- 多くはオフバランス資産・債務や含み損益と見なすべき課題やそれに付随する会計項目の調整
- 同一規準で他社と財務指標を比較するため
- 各社の実態を可能な限り統一した会計的な取扱いの基で分析
調整を行うか否かの判断、および調整方法などは格付け会社によって異なる
- 米系格付け会社は原則として、全ての発行体に対してそれぞれの統一したアプローチで調整を実施
- R&Iではリース調整など一部の項目に関して調整を実施
格付け会社が重視する財務指標の例
- 収益性を表現する指標
- 営業利益率
- EBITDAマージン
- 総資産利回り(ROA=EBIT/総資産)
- 投下資本利回り(ROIC=EBIT/投下資本)
- ROE
- キャッシュフローと債務のバランスを表現する指標
- 有利子負債/EBITDA
- 営業CF/有利子負債
- FFO/有利子負債(FFO=ファンズ・フロム・オペレーションズ:運転資本増減調整前の営業キャッシュフロー)
- FCF/有利子負債(FCF=フリー・キャッシュフロー:格付け分析では配当支払を注視)
- RCF/有利子負債(RCF=リテインド・キャッシュフロー, ネットキャッシュフローともいう:FFOから支払配当額を差し引いたもの)
- FOCF/有利子負債(FOCF=フリー・オペレーティング・キャッシュフロー:営業活動によるキャッシュフローから設備投資額を差し引いたもの)
- 財務構成を表現する指標
- 自己資本比率
- 有利子負債/総資本
- デット/エクイティ(D/E)
- 流動性を表現する指標