デットキャパシティは企業などが負債で調達できる資金の合計金額
信用格付けの観点からは:
1. 現状の格付けを維持しながら上乗せできる有利子負債相当額、もしくは
2. 一定の格付けを目安として、上乗せできる有利子負債相当額
- 一定の格付けとは、A格を維持、投資適格を維持、現状よりXノッチ低い水準を維持するなど、複数の考え方がある
その他、
3. 金融機関から無担保で受けられる融資の想定最大金額
4. 金融機関から有担保で受けられる融資の想定最大金額、などの考え方もある
金融機関は融資した資金の回収確実性に注目しているのに対して、格付け会社では、企業のゴーイングコンサーンとしての債務履行能力を重視している
- 格付け会社は債務履行リスクが上昇している先の格付け評価を下げることで対応する
- 一方、金融機関は回収リスクが高まっている企業に対して、金利・クレジットスプレッドを高く設定、融資期限を短縮、資産に担保権を設定することで融資を行うことが可能
- これらの調整を行わずに、信用力が悪化している企業に融資を続けている金融機関の信用コストは、将来的に上昇するリスクが高まる
現状、運用難に苦しむ金融機関は融資残高を維持・向上するために、収益性に関して構造的な課題を抱えている企業に対してでも、柔軟に対応する姿勢を示している
- 結果として、それらの企業でも格付けベースのデットキャパシティが縮小していても、金融機関から十分な資金調達ができる状態が続いている
- しかし、何だかの理由で金融機関の融資姿勢に変化が起きた場合、企業の資金繰り、特に負債額が多く収益性の改善も見込み難い先の資金が枯渇するリスクが高まる