株主価値と信用力の関係

株主価値を表現する指標(ROE)と債権者の視点を表現する指標(収益・負債比率、D/E)の関係

ROE=(収益/売上)x(売上/総資産)÷(自己資本/総資産)=(収益/負債)x(負債/自己資本)

=マージンx資産回転率÷自己資本比率=収益・負債比率xD/E

注記:趣旨を簡易的に示すために、総資産=投下資本とする

ROAが上昇している時はROEも上昇する傾向がある

  • 自己資本比率を一定のレベルで維持される仮定をすると、収益・負債比率も上昇して信用力も高まる
  • 更に、信用力が高まると、資金コストが低下するので、企業価値の向上を図り易くなる
  • 一方、収益性の悪化・伸び悩みに対して負債を圧縮すると、収益・負債比率の悪化を緩和することは可能だが、先行投資を絞り込み過ぎると将来収益を犠牲にしてしまう恐れがある

財務体質が多少悪化しても、収益性の向上が期待できる先行投資であれば、格下げになるリスクが低下するだけでなく、将来的に格上げにつながる可能性も視野に入れることもできるようになる

  • 株主価値も収益性と共に回復することも期待できる

上記の式から、信用力を維持しつつ株主価値を向上させるためには、リスク調整後のROAを改善させる必要があることが見受けられる

  • リスク調整後のROAが低い資産、特に加重平均資本コスト(WACC)を下回り、改善の見通しが立たない、他のセグメントへの貢献も期待できない、若しくは戦略的位置付けが明確でないものは、株主価値は信用力を圧迫する要因になり易い