収益性の向上を目指す企業が、収益性の低い事業や赤字事業を維持する事は、一見その目標に反するように見える
- しかし、ゴーイングコンサーンである企業の総合力や将来性の観点から、他の高収益事業とのシナジー効果や将来的に成長が期待できる分野の事業は、たとえ赤字であっても維持する必要がある
- 結果として、好業績事業から得た内部留保やキャッシュフローで、低業績事業をサポートする構造が一般的に成り立っている
低業績事業をサポートする財源はどの程度あるのか、その限られた財源でどの低業績事業をサポートするかの判断は重要な経営課題になる
- 限られた経営資源は先ず、好業績、且つ将来性のある事業の更なる発展に割り当てる必要がある
- 次に、現状は好業績ではないが将来的に成長が期待できる可能性がある分野や事業に配分
- 残りの財源をさらなる競争の激化・事業環境の悪化など、将来性に関する懸念がある事業へ割り当てるかを慎重に考える必要がある
会社全体の業績が良い時は、あらゆる事業を支えることが可能だが、業績が落ち込んでいる時には投資先を選別しないと、財務体質が悪化し続けるリスクが高まる
- 一時的に負債が増加して債務体質が悪化する事もあり得るが、将来的に収益性の高い事業へと発展する可能性がある分野への投資は、当面、維持・増加させる必要がある
- 問題は、研究開発費や先行投資などに充てるべき財源を、低収益、且つ将来的にも改善の見通しが立て難い事業に投資を継続させること
- それらの出費は悪化する財務体質の改善やフランチャイズバリューの強化に貢献しない
収益性が低く、将来性に懸念のある事業を維持し続けると、会社全体のデットキャパシティを縮小させて株式投資家への魅力を希薄することになり、株価が圧迫される要因になり得る
- この考え方は、会計セグメント、事業部門、製品、事業所・店舗、地域単位などに適用可能
- 更に、経営難に陥ってる会社へ支援を提供する企業や金融機関、国家にもこの「コスト」の概念は適用できる