格付けはデフォルトリスクに係る相対評価を表現しているものであり、個別債務の価値を推測する上で重要な情報となるものの、信用力以外に評価対象債務の需給を影響する要因は多数ある事を留意する必要がある
-
格付け会社各社が用いる格付けプロセスの特性(強み、弱み、傾向、限界など)を理解する事で、より正確な投資判断やより充実したポートフォリオリスク管理が可能になる
債券のスプレッドや利回りの動きを信用力の評価のみ(格付けのみ)では説明できない場合が多い
- 例えば日本国債の場合、格下げによって信用リスクの上昇が認識されても、現状のように他の理由で需要バランスが維持されている限り、金利の上昇(債券価格の下落)することはない
- 一般事業会社でも、「カネ余り」によってあらゆる金融商品のリスクプレミアムが縮小している状況下において、現状のスプレッドが正確に信用リスクを反映しているのかを意識する必要がある
- 金融機関が提供する融資のスプレッドと債券投資家が求めるスプレッドのかい離が存在するのも各市場の資金需給バランスを反映している
格付け会社が好評しているデフォルト統計は過去の実績であり、今後、個別債務に対して期待するべきデフォルトリスクを占うものではない
- 一般的に事業環境が良い時にデフォルトリスク率は低下し、事業環境が悪い時に上昇する傾向があり、統計として示されている格付け毎のデフォルト確率は、現時点における個別債務のデフォルト確率を占うものではない
- 格付けアナリストは特定のデフォルト率を想定して格付けを付与している訳ではない
- 同じ格付け会社でも、統計の基となる対象期間を変えれば、デフォルト率も変わってしまう
LGDを算出する際の損失率も業界や個社の特性の他、破たんに至るまでの経緯などによっても影響される事も留意する必要がある
デフォルトの定義、格付け手法や実績に関する詳しい情報は格付け会社各社のホームページをご覧ください