信用格付けは発行体の相対的な債務履行能力に関する格付け会社の意見(格付けの定義)
すなわち、信用格付けは多数ある発行体の信用リスクを相対評価した結果を符号で表現したものである
格付け委員会が発行体の格付けを決定する際、格付対象会社のキャッシュフロー創出力および安定性に関わる中期的な見通しと、債務や資金ニーズおよび資本バッファーなどとのバランスを他の格付け対象会社と比較しながら判断を下す
- 例えば、現状の財務レシオに大差のない発行体を比較する場合、より安定した収益・キャッシュフローが期待される発行体の格付けは、安定性が劣ると思われる発行体より高くなる
格付け対象会社の収益・キャッシュフロー見通しに関する評価は、発行体が属する産業や営む事業のリスク、その他、個社特有の状況などによって影響される
- 同じ産業区分でも異なる事業ポートフォリオを運営する発行体や、産業区分が異なる発行体を比較してランク付けする必要がある
- 規模は大きくないがボラティリティが低い産業に属する発行体と、規模は大きいがリスクが比較的高い産業に属する発行体を比較する際の分析は複雑になる
- 更に、景気サイクルの影響、事業環境の変化や業績見通しなどの未確定要因や、対応可能なダウンサイドリスク、そのダウンサイドシナリオが起きる蓋然性なども総合判断に考慮する
- 未確定要因の織り込み方やダウンサイドシナリオ(例えば、現状は比較的安定しているが、変化の前兆が見え始めている時の評価)に関する考え方は格付け会社によって異なる上、同じ格付け会社内でも複数の業種に亘って統一させるのは困難であり、個社の格付け担当アナリストや格付け委員会メンバーの主観によっても格付け評価が影響される
企業の格付けはゴーイングコンサーンとして評価されるため、清算価値はあまり重視されない