バブル崩壊後、長期にわたる金融緩和政策により、良好な資金調達環境が保たれている
- 特に、大手企業は低金利で巨額の借入ができる構造が根付いている
- アジア通貨危機、米国のサブプライム問題、欧州ソブリン危機などは、それらに直接関係のある地域では深刻な問題につながったものの、本邦金融市場への影響は比較的軽微なものに留まった
とはいえ、日系大手企業の資金調達環境に悪影響をもたらす可能性がある要因は多数あり、何が、どのような形で、どのタイミングで顕在化するかを予測することは不可能
- 第一に、世界主要国が実施している金融緩和政策を受けて金利は非常に低い水準に維持、財政政策によって総需要はかさ上げされているが、これらの政策を永久的に維持する事は不可能であるため、いずれは終焉させる時が来るという問題がある
- 政治が絡む課題は予測しにくい上、グローバル金融市場に大きな影響を与える可能性がある
- ひとつのイベントやショックが別のショックを招く可能性、それらに対する政策の副作用、またそれらの複合的インパクトを予測することは更に困難である
- 下記は、最近メディアで取り上げられている課題の例、他に注目を浴びてない課題も数多く存在
- アベノミクスに関わる評価・議論、今度の政策判断
- 米国経済の改善度合い、FRBテーパリングのタイミングその影響
- ユーロ圏問題の深刻化
- アジア通貨の下落リスク
- 中国経済成長が減速するリスクとその影
- シリア内戦および原油価格の動向、など
- これらのテーマに関して、数多くの専門家が様々な意見を述べているが、実際のインパクトを推測することは困難である
- 過去に起きた「ショック」(アジア通貨危機、ドットコム・バブルの崩壊、米国のサブプライム問題など)と言われる事象に関しても、十分な前兆があったにも関わらず、それらが顕在化したことによって大きな打撃を受けた企業や資本市場関係者は数多く存在
- 一方、大きな問題になり得ると騒がれていた課題でも結果的に殆ど影響がなかったものも数多くある(2000年問題など)
資金調達環境がどのタイミングでどのように変化するのかを予測するのは難しいが、長年続いている良好な資金調達環境がいつまでも続くとは考えにくい
- 金利が低い今のうちに長めの期間で資金を調達しようと、今年度に入って期限の長い社債を発行する企業は増加している
- 只、このような行動は格付けが比較的高い発行体に限られており、債務残高が比較的高く、金利上昇の影響を受けやすい発行体までには広まっていない模様
- 状況によっては、金融機関の融資姿勢や資本市場のリスク選好度が保守的になり、低位投資適格の発行体に対する信用リスクプレミアム(スプレッド)が上昇するだけではなく、長い年限の資金調達が困難になる可能性が高まる
- 特に、金融市場の混乱をもたらしている一連のイベントやショックによって業績が悪化している発行体は影響され易くなる