発行体に財務的ストレスが掛った際にもデフォルトの蓋然性を抑制する効果がある資金調達手段
- 手元流動性が枯渇する恐れがある場合
- クーポンの支払いを延期、若しくは停止しても債務不履行扱いにならない
- 期限が非常に長く、当面は償還する必要がない
- 過小資本、若しくは債務超過になる恐れがある場合
- 優先株式の形態であれば会計上も資本になる
- 負債の形態でもストレス時において、発行体がデフォルトする前に株式転換する、若しくは元本削減される仕組みが織り込まれていれば、増資効果や債務免除益の計上などによって自己資本の強化を図る事が可能
- 発行体がデフォルトした際の回収優先順位が低く、その他の優先債務の回収率向上に貢献する
- これらの効果の結果、当債務・資本よりシニア、且つ期限の短い資金調達が行い易くなる事もあり、資金ショートに陥る蓋然性を下げる事に貢献
業績のダウンサイドを吸収する性質がリスクプレミアムとして調達コストに反映される
- 会計上は負債として扱われる商品設計にすることで、支払うクーポンを支払利息として費用計上することが可能になるため、場合によっては株式の配当よりキャッシュフローへの負担が軽くなることもあり得る
格付け分析上の扱い
- 格付け会社はハイブリッド資本に対して「資本性」評価を行い、その評価に応じて調達額の一部、若しくは全額を資本として財務分析を行う
- 商品設計上、普通株式により近い損失吸収性をもつハイブリッド資本に高い「資本性」評価が付与されるが、格付け会社毎、資本性評価要件は異なる
- 格付け会社の「資本性」評価方法は、各社のホームページ等で公開されている
- 格付け会社に認められる資本増強効果は格付けを下支えする要因になるが、クーポンコストがキャッシュフローに与える影響次第でそのメリットの一部は相殺されてしまう