企業の信用力が劣化する過程

企業の信用力が劣化する要因は大きく分けて、業績の悪化と資産価値の毀損がある

  • 大型M&Aなどによる財務体質の悪化はイベントリスクと格付け会社は見なしている

業績の悪化は事業環境の変化や競合他社の動向に対応しきれない時に起きる

  • 事業会社:売上の低迷やマージンの悪化
  • 銀行・ノンバンク:利ザヤの圧縮、貸倒費用の増加、役務収益の低迷
  • 保険会社:損害率の上昇、資産運用収益の低迷

表面的に業績の問題はないように見えても、収益の質が低下している発行体の信用力も劣化している恐れがある

  • 典型的な事例として、キャッシュフローを伴わない利益の比重が高まったり、利益水準を維持するために事業リスクを拡大させたり、などがある

更に、業績の悪化局面には、事業の軌道修正を図るための投資やリストラ費用などが嵩む傾向があるため、負債が増加し易い状況になる

  • 事業環境が良好な時に、更なる成長や競争力の維持・強化に向けた投資や株主還元を増やして負債残高が膨らんでいた企業にとって、重い負担になることもある

業績が悪化している時に資産価値の減損処理を行う必要性が高まる、若しくは、資金を確保するためにそれらの資産を売却する際に損失が発生し易くなる

  • 工場や店舗などの固定資産
  • 原料や製品在庫、仕掛品など
  • のれんやその他の無形資産
  • 売掛金や貸付金
  • 株式、債券、不動産などの運用資産、など

結果として、キャッシュフローや自己資本の縮小と同時に有利子負債が増加すると、信用力評価が低下する